大腸がんトピックス
公開日:2020.06.15更新日:2022.09.30
【副作用】
抗がん剤による副作用のセルフケア(10):味覚や嗅覚の変化
抗がん剤はがん細胞に作用するだけでなく、正常な細胞へも影響を与えるため、副作用が現れることがあります。
そのため、抗がん剤治療を行うときには、副作用を軽減させる薬を用いることがあります。
また、患者さんが日頃からセルフケアを心がけることでも、副作用の予防や症状の軽減が期待できます。
「大腸がんトピックス」では、治療中に現れやすい副作用のセルフケアについて紹介していきます。
今回は、味覚や嗅覚の変化(味やにおいの感じ方の変化)のセルフケアについてご紹介します。
原因
【味覚の変化】
抗がん剤によって、舌にある味を感じるセンサーの役割をする味蕾(みらい)の細胞が影響を受けたり、味蕾の細胞を作るのに必要な亜鉛の吸収が妨げられて起こると考えられています。
また、唾液が減って口の中が乾燥したり、口内環境の悪化によっても味覚の変化が起こると言われています。
【嗅覚の変化】
抗がん剤によって、鼻の奥にあるにおいを感じる細胞が影響を受けて起こると考えられています。
症状
- ・ 本来の味と異なった味に感じる
- ・ 特定の味を強く感じる
- ・ 味を感じにくい
- ・ 砂をかむような食感になる
- ・ においで気分が悪くなる
- ・ においを感じにくい
など
味覚や嗅覚の変化の現れ方は患者さんによって異なります。
多くの場合、治療終了後、時間の経過とともに改善すると言われています。
味覚や嗅覚が変化した場合には、遠慮なく医師や看護師などの医療スタッフに相談しましょう。
セルフケア
【味覚の変化があるとき】
- (1)歯磨きや、こまめなうがいを行って、口の中を清潔に保ちましょう。
- (2)こまめなうがいや口腔保湿剤などで、口の中が乾燥しないようにしましょう。
- ・ あめやガムを食べたり、食事の際によくかむことで、唾液の分泌が促されます。
- (3)症状にあわせて食事を工夫しましょう。
- ・ 本来の味と異なって感じる場合:
違和感のある味を避けて味付けしましょう。
うまみや香りを利用してみましょう。
肉や魚は、アク抜きや臭み抜きをしっかり行いましょう。 - ・ 特定の味を強く感じる場合:
強く感じる味の食材や調味料を控えてみましょう。 - ・ 味を感じにくい場合:
濃いめに味付けしたり香辛料・薬味を使ったりして、はっきりとした味付けにしてみましょう。
また料理は人肌程度に冷ますと、味を感じやすくなります。
- ・ 食感が変わったと感じる場合:
口あたりがよく水分の多い食品や汁物を選んでみましょう。
なめらかな食感になるようにとろみをつけてみましょう。
- ・ 本来の味と異なって感じる場合:
- (4)亜鉛を多く含む食品(かき・あさりなどの魚介類、レバーなどの肉類など)を食事に取り入れてみましょう。
【嗅覚の変化があるとき】
- (1)においの強いものになるべく近づかないようにしましょう。
- ・ タバコや芳香剤などのにおいを不快に感じることがあります。
- (2)においの少ない調理法を工夫しましょう。
- ・ においの強い食品や料理を控えましょう。
- ・ 温かい食事(炊き立てのご飯など)は、少し冷ますとにおいが気にならないことがあります。
- ・ 調理をするとにおいが充満するため、レトルト食品や冷凍食品、缶詰、市販の惣菜などを活用するのもよいでしょう。
参考資料:がん研究振興財団『がん治療中の食事サポートブック2020』
静岡県立静岡がんセンター『がんよろず相談Q&A第3集 抗がん剤治療・放射線治療と食事 編』など
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