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HOME  >  医療従事者インタビュー  >  大腸がんの手術後、日常生活で注意することは? 山口達郎先生(2)

医療従事者インタビュー

公開日:2020.03.09

外科医が解説する大腸がんの手術と術後の過ごし方

目次

退院後はできるだけ早く手術前の生活に戻ることが大切です。

退院後の生活について患者さんからよく受ける質問としてはどのようなものがありますか?

食事や運動、仕事などについて質問されることがあります。これらの質問に対しては、「手術前の生活に少しでも早く戻してもらう」ことを念頭に説明しています。

退院後の生活についてのよくある質問

  • 排便習慣は変わってしまうのでしょうか?
  • 食事で気をつけることはありますか?
  • お酒を飲んでもよいですか?
  • 避けたほうがよい運動はありますか?
  • 仕事にはどれくらいで復帰できますか? など

排便習慣については、どのような変化がありますか?

大腸を切っていますから、もっとも患者さんが心配される点ですね。盲腸から横行結腸までのがんの手術後は、排便習慣に変化が起こることはほとんどありません。
一方、S状結腸や直腸のがんの手術後は、排便回数が増える、便がすっきり出ない感じがする(残便感)、下痢になる、腸の動きが悪くなって便秘になるなどの排便の変化が起こります。手術から3ヵ月ほど経てば、手術したばかりの頃よりは排便の回数が減り、排便のがまんのしづらさも軽くなりますが、それ以降はあまり改善しないと考えておいたほうがよいと思います。患者さんのなかには、ご自身の体調に合わせて下痢止め薬と下剤を使ってうまく排便のコントロールをしている方もいらっしゃいます。便秘や下痢で困っている場合には、主治医に相談されることをお勧めします。

食事について注意するのはどのようなことでしょうか?

写真:山口達郎医師2

食事については、基本的に何を食べても大丈夫です。大腸の手術は食べ物の消化・吸収にほとんど影響しないと考えられるからです。ただし、退院して1ヵ月ほどは腸の動きが弱く、腸閉塞(イレウス)を起こすことがないとは言い切れません。そのため、食物繊維の摂りすぎに注意し、消化のよいものを摂るようにしましょう。炭酸の入った飲料も、お腹が張るかもしれないので避けた方がよいかもしれません。
退院して1~2ヵ月経てば、手術前と同じ食事をして構いません。
飲酒は節度のある範囲なら問題ありません。

運動はどうでしょうか?

運動する大腸がん患者さん

退院後は、散歩をするなど積極的に体を動かす機会をつくるとよいでしょう。開腹手術の場合は腹壁瘢痕ヘルニア(ふくへきはんこんヘルニア:手術の傷痕が大きく膨らんでくること)という状態が起こるリスクが高く、お腹に力を入れるような運動を制限しなければなりませんが、今は腹腔鏡下手術が主流ですから、その心配はほとんどありません。

仕事への復帰についてはどのようなアドバイスをされていますか?

ある程度休暇が取れる方、すぐにでも復帰しないと困る方など、状況はさまざまだと思いますが、基本的にできるだけ早く手術前の生活に戻るのがよいと伝えています。肉体的重労働を除けば、特段の制限はなく、すぐに仕事に復帰して問題はありませんし、体力の回復はむしろ早まると思います。

退院後の生活ではどのようなことを心がけるとよいでしょうか?

手術で大腸がんを取ると貧血などが改善して体調がよくなり、食欲が増して太ってしまう人がいます。ですので、食べ過ぎないこと、体重が増えすぎたらダイエットを心がけるように伝えています。
また、手術前にタバコを吸っていた人には、これを機会にやめましょうと禁煙を勧めています。

高齢の方にはどのようなアドバイスをされていますか?

高齢だから特に注意するということはないのですが、入院中は体を動かすことが少ないので筋力が落ちてしまいます。また、病室はバリアフリーになっていて、スリッパを履いていることが多いので、どうしてもすり足で歩くようになります。
高齢の方の場合はもともと転びやすい傾向がありますから、転ばないように注意し、床にものを置かないなど、家の中の環境をつまずいたりしないように整えるように伝えています。

退院後に再発の不安を抱くこともあると思います。

再発のリスクを減らす方法として、科学的根拠(エビデンス)が認められているものは、術後補助化学療法だけです。術後補助化学療法を行うかどうかは、手術を行ったときのがんのステージに応じて判断します。
また、術後5年間は定期検査をきちんと受けてもらうことが再発の早期発見につながります。なお、“がんが治る”、“がんを予防できる”と謳う健康食品や食事療法などを勧められる人を見かけますが、科学的根拠のあるものは1つもありませんと伝えています。

ご家族ができるサポートにはどのようなものがありますか?

1日も早く手術前の生活に戻れるように患者さんを支援することがご家族の行動の基本になると思います。患者さんが自分でできることは自分でやることが早く戻るための秘訣だと思います。その上で、「足腰の弱りがあることを考えて転ばないように環境を整えること」、「術後補助化学療法の副作用などで食欲がないようであれば食事の工夫をしてあげること」、「悩みに耳を傾けてあげること」などがご家族のできるサポートだと思います。

最後に、大腸がんの手術を受ける方やそのご家族にメッセージをお願いします。

大腸がんの場合、大腸癌治療ガイドラインとして標準治療がまとめられていますから、基本的にはどこの病院でも同じ治療を受けられますので安心してください。ただし、必ずしも手術すれば治療が終わりになるわけではありません。再発のリスクは、高い、低いという差はあっても誰にでも存在します。がんのステージによっては術後補助化学療法が必要ですし、再発したときには化学療法や再手術を行わなければならないかもしれません。これらの一連の治療を受ける可能性も考えて、どこの病院で治療を受けるか決めたほうがよいと思います。また、手術をしましょうと言われたときには、疑問や不安があれば質問し、十分に説明してもらいましょう。そして、納得したうえで治療を始めることが一番大切だと思います。

【お話をうかがった先生】

がん・感染症センター都立駒込病院
外科・遺伝子診療科部長
山口達郎先生

北海道大学医学部卒業
1994年~北海道大学附属病院(現:北海道大学病院)
1999年~がん・感染症センター都立駒込病院
日本外科学会 専門医、指導医
日本消化器外科学会 専門医、指導医
日本大腸肛門病学会 専門医、指導医・評議員
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
遺伝性腫瘍専門医
臨床遺伝専門医   など

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