公開日:2012.03.30更新日:2022.09.30
手術の後に、再びがんが現れることも…
大腸がんを完全に治すための治療の原則は、手術でがんを完全に取りきることです。
しかし、手術で目に見えるがんを完全に取りきれたとしても、目に見えない小さながん細胞が体内に残っている可能性があります。
その小さながん細胞が、手術後に目に見えるまで大きくなることを「再発」といいます。
再発する人の割合
再発する人の割合は、がんの進行度(ステージ)によって異なります。
再発の起こりやすい場所
大腸がんの再発には、主に次のようなパターンがあります。
1. 局所再発
局所再発とは、がんが、もともとあった部位の近く(局所)に起こる再発のことです。
結腸がんでは、手術でがんの周囲を広く切り取ることが比較的容易にできます。
そのため、局所再発はあまり起こりません。
一方、直腸がんでは、骨盤が直腸を取り囲んでいるために、手術でがんの周囲を十分広く切り取ることが難しい場合があります。
そのため、局所にがん細胞が残って局所再発が起こることがあります。
2. 遠隔転移
大腸に発生したがんが、リンパ節や肝臓、肺、骨、脳などの大腸から離れた臓器に飛び火して大きくなることを「遠隔転移」といいます。
大腸がんの遠隔転移で多くみられる部位は、肝臓や肺です。
これらは、肝臓から発生する肝がんや、肺から発生する肺がんとは区別され、あくまで大腸がんとして治療していくことになります。
3. 腹膜播種(ふくまくはしゅ)
大腸の外側の表面を覆う膜を腹膜といいます。
腹膜は、大腸だけではなく、腹部全体を覆っています。
そのため、大腸にできたがんの細胞が腹膜にこぼれると、腹部のいたるところに散らばるように広がって行きます。
手術後の再発の可能性を考慮して、予防と定期検査を
再発をできる限り防ぐために、手術の後に抗がん剤を使用する治療を「術後補助化学療法(=アジュバント療法)」といいます。
術後補助化学療法を行うことが推奨されるのは、再発の可能性が高いステージ(病期)Ⅲの患者さんです。
また、ステージⅡの患者さんであっても、再発の可能性が高いと判断される場合には、術後補助化学療法を行ったほうがよいというのが、今の一般的な考え方です。
再発を早期に発見し、治療を開始するためには、定期的に通院し検査を行うことが大切です。
大腸がんの再発は、ほとんどの場合、手術から5年以内に起こります。
そのため、手術の後5年間は、定期的に検査を受けるのが一般的です。
また、検査の間隔は、検査の種類にもよりますが、通常、手術を終えて3年は3~6ヵ月に1度、それ以降5年目まではおよそ半年に1度です。
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