医療従事者インタビュー
公開日:2020.05.18
薬に関する疑問や不安は薬剤師にご相談を
目次
- 1. がんにおけるチーム医療と薬剤師の役割について
- 2. 治療について困ったことがあれば薬剤師にも気軽にご相談を

薬についての疑問や不安があれば遠慮なく薬剤師に相談してください。
患者さんからの抗がん剤治療についての相談にはどのようなものがありますか?
抗がん剤治療を受けることになった患者さんからの主な相談には、「副作用は大丈夫だろうか」、「効果が得られるか」などが挙げられます。
副作用に適切に対処していくために、患者さんが使う薬でどんな副作用が起こりうるのかをあらかじめ知っておくのは大切なことです。その一方で、患者さんの中には、インターネットなどから情報を集めた結果、副作用について過剰な恐怖を抱いてしまったり、効果について不信感を持ってしまったりしている方がいます。インターネット上の情報には必ずしも正しいとはいえないものもありますし、正しい情報でも患者さんご自身に当てはまらないものもあります。ご自身の抗がん剤治療について不安に思うことは、主治医の先生や薬の専門家である薬剤師に気軽に聞いていただきたいと思います。
抗がん剤による副作用の不安に対してはどのように答えていらっしゃいますか?
治療開始前の患者さんが、副作用に対して心配や不安になってしまうのはよくあることです。副作用が心配で抗がん剤治療に前向きになれないという患者さんには、「なぜこの治療をやるのか」ということから、薬剤師が寄り添って一緒に考えて支援していくことが大切だと思っています。そのうえで、今では支持療法薬も進歩してきていますし、早く症状を見つけて対処すれば治療を続けることができ、治療効果にもつながるということをお伝えしています。
はじめは治療に前向きになれなかった患者さんでも、副作用にうまく対処しながら治療を続けていくうちに「治療を受けてよかった。ありがとう。」とおっしゃる方もいます。薬の副作用に対する不安には薬剤師が対応できますので、治療開始前に不安に思っていることがあれば遠慮せずに相談していただきたいですし、治療中も気になる症状が現れたときには、我慢せずに伝えていただきたいですね。
抗がん剤治療を受ける患者さんやご家族はどのようなことを心がけておけばよいですか?
治療を始めるにあたって、医師をはじめ、医療スタッフからさまざまな説明を受けますので、わからないことや忘れてしまうことが出てくると思います。そのようなときに、インターネットで得た情報や患者さん同士で交換した情報をもとに判断せず、必ず主治医の先生や薬剤師に相談するようにしましょう。
また、最近はサプリメントを飲んでいる方が多くいらっしゃいます。テレビなどで宣伝が盛んに行われていることも背景にあると思います。サプリメントが抗がん剤治療に思わぬ影響を与えてしまう可能性がありますので、使っている場合や、使おうと考えている場合も、薬剤師に相談して飲み合わせを確認するようにしてください。
最後に、これから抗がん剤治療を受ける患者さんやそのご家族へメッセージをお願いします。
抗がん剤治療を受ける患者さんに寄り添い、支えていく医療スタッフのひとりとして「薬剤師」がそばにいるということを心にとめておいていただけたらと思います。薬剤師は、患者さんにとってベストな治療が行われるように、患者さんが安心して治療を受けられるように、精一杯支えていきます。気になっていることがあれば、どんなことでも遠慮なく相談していただければと思います。
【お話をうかがった先生】
埼玉医科大学国際医療センター
薬剤部主任
藤堂真紀先生
愛知医科大学大学院医学研究科医療薬学(博士後期課程)卒業
2004年4月~藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院(現:藤田医科大学ばんたね病院) 薬剤部、愛知医科大学病院 薬剤部
2014年6月~埼玉医科大学国際医療センター 薬剤部
日本医療薬学会 がん専門薬剤師・がん指導薬剤師
日本緩和医療薬学会 緩和薬物療法認定薬剤師
日本医療薬学会 医療薬学専門・指導薬剤師
日本医療薬学会 薬物療法指導薬剤師
日本薬剤師研修センター 認定実務実習指導薬剤師
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