大腸がんの手術治療とは
公開日:2012.03.30更新日:2014.09.08
外科手術は大腸がん治療の中心
がんの治療は、外科手術、化学療法、放射線治療などの治療を組み合わせて行われます。
その中で、体内からがんを直接取り除くことができる外科手術は、高い治療効果が期待できます。
そのため、外科手術は大腸がんの治療法の中心となっています。
手術の方法は、がんがある部位や進行度などに応じて決められます。
結腸にがんがある場合の手術
がんから約10cm離れたところまでの腸管を切り取り、残った腸管どうしを縫い合わせ、つなげます。
また、がん細胞が近くのリンパ節に転移している可能性があるので、リンパ節を取り除くリンパ節郭清(りんぱせつかくせい)も行います。
直腸がんの手術とは異なり、手術の後に、排便や排尿などの機能障害が起きることはほとんどありません。
直腸にがんがある場合の手術
直腸の近くには、排尿や排便、性機能をコントロールする神経があります。
がんが進行している場合は、がんを完全に治すこと(治癒)を目指すために、やむなくこれらの神経も含めて切り取る場合があります。
直腸局所切除術
広がりがごく限られた範囲内のがんを切り取る手術です。
リンパ節転移の可能性がなければ、リンパ節郭清を行わないことがあります。
おなかを切らずに肛門を広げて行う場合と、腰のあたりにある骨の横から切開して行う場合があります。
この手術では、肛門は切り取らず残す(温存する)ことができます。
前方切除術
ある程度まで広がっているがんを、リンパ節とともに切り取る手術です。
リンパ節郭清を行った後、肛門から入れた自動吻合器(じどうふんごうき)という医療機器を使って、直腸と結腸の腸管どうしをつなげ合わせます。
この手術では、肛門は切り取らず残す(温存する)ことができます。
直腸切断術
がんができた直腸の腸管とともに、肛門も切り取る手術です。
切り取った肛門の代わりに、人工肛門(ストーマ)と呼ばれる便の出口を、腹部に造ります。
人工肛門に専用の袋(パウチ)を装着し、便がたまったら取り外して捨てるという排泄方法になりますが、慣れれば手術前とほとんど変わらない日常生活を送れます。
近年、超低位前方切除術(ちょうていいぜんぽうせつじょじゅつ)という手術法により、直腸がんの約8割で人工肛門を避ける手術が可能となっています。
(出典:がん情報サービス「国立がん研究センターがん対策情報センター」)
括約筋間直腸切除術(ISR:かつやくきんかんちょくちょうせつじょじゅつ)
肛門の近くにできたがんを切り取る手術です。
排便時の肛門の開閉にかかわる筋肉(肛門括約筋)のうち、内側の筋肉のみを切り取って、外側の筋肉を残すことで、肛門を温存することができます。
ただし、肛門機能の低下によって、生活の質が落ちてしまうことがあります。
この手術ができるかどうかは、病状や、各施設の方針などにより異なるため、まずは医師に相談してください。
腹腔鏡下手術
炭酸ガスで膨らませた腹部に小さな穴をあけ、細長い手術器具を入れてがんを切り取ります。
腹腔鏡(カメラ)も入れて、腹部の内側をモニター画面に映し出した状態で手術します。
腹部を大きく切り開く必要がなく、患者さんの体の負担は少なくてすみます。
腹腔鏡下手術ができるかどうかは、病状や、各施設の方針などにより異なるため、まずは医師に相談してください。
大腸がんの手術後に起きる症状とは?
大腸がんの手術の後に、患者さんご本人やご家族が気になるもののひとつに、食事があります。
食物繊維が多いものは消化しにくいので、大腸がんの手術後しばらくは控えたほうがよいとされますが、基本的に食べていいもの、食べてはいけないものという食事の区別は特にありません。
手術をしてから数日の間にガス(おなら)が出れば、大腸が正常に動きだしたといえます。
個人差はありますが、通常は腹腔鏡下手術では5~7日、開腹手術では7~10日で退院ができます。
ただし、薬に副作用があるように、手術の後にも、合併症と呼ばれるさまざまな症状が現れることがあります。
【手術後の主な合併症】
・発熱 ・傷口の痛み ・傷口の赤い腫れ ・腹痛 ・吐き気 ・嘔吐…など
また、直腸がんの手術を受けた場合には、排便機能や排尿機能、性機能に影響が出ることがあります。
これらの症状は一時的に起きている場合と、長くつき合っていく場合とがあります。
安心して生活できるように、不安なことがあれば医師などに相談しましょう。
がんの進行度などによっては、手術の後に、「術後補助化学療法(=アジュバント療法)」を行う場合があります。
術後補助化学療法を受ける可能性があるかどうかについても、手術を受ける前に確認しておきましょう。
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