大腸がんの内視鏡治療とは
公開日:2012.03.30更新日:2019.11.06
早期の大腸がんは、内視鏡治療で切除が可能
内視鏡は、先端に小型カメラとライトが付いた、細長い管状の形をした手術器具です。
肛門から入れて、大腸の内部をモニター画面に映し出すことができます。
画面を見ながら手術器具を手元で操作して腫瘍を切り取れるので、治療にも使われます。
内視鏡治療は、体への負担が比較的軽く、入院期間が短くてすむなどの利点があります。
内視鏡治療は、がんが大腸の壁のもっとも内側にある粘膜にとどまっている場合(ステージ0)と、粘膜下層まで入り込んでいても(ステージⅠ)、浅いところにとどまっている場合(軽度浸潤癌)に行うことができます。
大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないので、切られても痛みは感じません。
内視鏡治療の方法の決め手は、腫瘍がキノコ型かどうか
内視鏡治療は、腫瘍の形や大きさなどによって、次の方法が使われます。
ポリペクトミー
キノコのような、太い傘と細い茎(軸)に当たる部分をもつ腫瘍に用いられる方法です。
大きさが2cm未満の腫瘍に行われます。
まず腫瘍の細い部分に、内視鏡の先端から出る「スネア」と呼ばれる細い金属の輪を引っ掛けます。
この輪を締めて電流を流し、腫瘍とまわりの粘膜を焼き切ります。
この方法は、外来での治療が可能です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR:ないしきょうてきねんまくせつじょじゅつ)
キノコの茎(軸)に当たる細い部分をもたない、平らな形をした腫瘍に用いられる方法です。
大きさが2cm未満の腫瘍に行われます。
まず内視鏡の先端から出る注射で、腫瘍の下側に生理食塩水(医療用の食塩水)などを注入して、腫瘍が盛り上がった状態にします。
あとはポリペクトミーと同じように、腫瘍が盛り上がったことでできた、茎に当たる部分にスネアを掛けて、腫瘍をまわりの粘膜とともに焼き切ります。
この治療法は、入院が必要な場合もあります。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ)
腫瘍の下側に薬液を注入しながら、腫瘍を電気メスで薄くはぎ取る方法です。
ポリペクトミーやEMRでは切り取ることができない大きな腫瘍も一度に切り取ることができます。
この治療法は、数日間の入院が必要となります。
内視鏡治療では、まれに腫瘍を切り取ったところが出血したり、穴があいたりすることがあります。
その場合、内視鏡を操作してクリップではさみ、止血をしたり、穴をふさいだりします。
内視鏡で対処できなければ、手術に切り替えられます。
切り取った腫瘍は顕微鏡で観察して、がんの取り残しや転移・再発の可能性を調べます。
その結果、追加で外科手術が必要となる場合があります。
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