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HOME  >  医療従事者インタビュー  >  抗がん剤治療の誤解や就労の悩み 仲島先生 藤吉先生(2)

医療従事者インタビュー

公開日:2017.03.30

あなたのお悩み解決のサポーター、がん相談支援センター

目次

がん相談支援センター

抗がん剤治療(化学療法)のイメージがひと昔前のまま、という方も。

具体的な相談事例についてうかがいます。
治療に関する相談が多いとのことですが、どのようなものがありますか?

仲島

抗がん剤治療(化学療法)について医師から説明を受けた方々が、相談に来られることがあります。お話を聞いていると、「抗がん剤治療には激しい副作用がつきもの」というひと昔前のイメージを持ち続けている方や、「抗がん剤を一度始めると退院できなくなる」という誤った情報をお持ちの方々もいらっしゃいます。

藤吉

抗がん剤治療にひと昔前のイメージを持ち続けている方には、副作用対策がずいぶん進歩したことや、現在は抗がん剤治療は入院ではなく外来でも受けられることなどをお伝えしています。すると、「それなら、やってみようかな」と話される方が多いです。外来通院であれば、仕事を続けながら抗がん剤治療を受けられます。

仲島

他には、認知症を患っている直腸がんの患者さんにストーマ(人工肛門)を造設した方が良いのかどうかという術式選択の相談がありました。医師、看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師、患者さん、ご家族、介護施設の方々に集まってもらい、話し合いをすることにしました。肛門を温存することは可能でしたが、排便回数や失禁回数が増えることも予測されました。そのため、おむつ交換など、患者さんだけでなく介護者の負担が大きいと考え、医師はストーマ造設を提案していました。ご家族は悩まれておりましたが、患者さんにストーマを理解してもらえるよう入院前に実際にストーマ装具をつけて生活してもらい介護施設の方に患者さんの反応を観察していただきました。患者さんはストーマ装具を気にする様子が見られましたが、介護施設の方が適宜説明してくださることでストーマ装具を剥がしてしまうことなく過ごすことができました。2度目の話し合いでは、介護施設の方から患者さんはストーマがあることで精神的不安が強くなるのではないか、介護者が排便のタイミングをわかるようになれば、トイレ誘導の回数が多くても施設側は負担に感じないとの意見がありました。患者さんに一番近いところで支え、理解している方々と真剣に検討を重ねた結果、最終的に肛門を温存する術式が選択されました。このように治療選択の支援をすることもがん相談支援センターの役割です。

次に、就労についての相談にはどのようなものがありますか?

藤吉

がんと診断されると、仕事を辞めて治療に専念しようと考える方や、治療を始めると働けなくなるといったイメージを持たれている方がいらっしゃいます。そのような方には、気持ちが落ち着くまで退職という大きな決断を急がないようにアドバイスしています。
会社を退職することをお考えの方が相談に来られ、お話をうかがうと、「自分が会社に残ると会社に迷惑になってしまうのではないか」との想いを語られました。その方へ、抗がん剤治療を続けながら仕事を続けている方がたくさんいらっしゃることをお伝えし、加えて経済状況を確認しました。患者さんの経済的基盤が安定していれば、治療中だけでなく、治療が終わった後の生活に対する不安も軽減されます。最終的に、その方は勤め続けたほうが良いと思い直され、所属部署を変えてもらえるように会社に願い出られました。

就労の相談に来られるのは、働き盛りの世代だけでしょうか?

藤吉

経済的な理由から、治療をしながら年金以外の収入を得ることを希望される60歳以上の方もいらっしゃいます。ハローワークの方から、年齢不問や65歳以上の方歓迎の求人情報を提供してもらうと、「自分たちの世代にも職があるんだ」と安心なさいます。実際に先日も、がんの治療のことを企業側に理解してもらったうえで就職された、60代の方がいらっしゃいました。

埼玉県立がんセンター 地域連携・相談支援センターの様子
  • がん相談支援センターであることが、ロゴマークとともにわかりやすく示されている受付。

  • 相談室は気軽に話せるオープンスペースと、プライバシーに配慮した個室の2種類があります。

  • 書籍やパンフレット、パソコンなどでがんについて自由に調べられる、開放感のある情報コーナー。

  • 専門家による相談会やセミナーなど、定期的に開催されるイベント情報が盛りだくさんの掲示板。

「もっと早く会いたかった」と言われることも。一人で悩まず、相談してください。

がん相談支援センターを知らない方もいらっしゃるかと思うのですが。

仲島

まだまだ十分知られていないのが現状で、2014年に厚生労働省研究班が行った調査では、認知度はがん診療連携拠点病院を受診しているがん患者さんでも約50%にとどまるという結果でした。そのため、当センターでは街の図書館でがんの出張相談を行ったり、地域のお祭りやがん啓発イベントに参加して「がん相談コーナー」を設けたりするなど、みなさんにがん相談支援センターを知っていただく活動をしています。

藤吉

一方で、がん相談支援センターを利用したことのある方の満足度は約80%という結果でした。相談に来られた方から「相談先がわからず不安で仕方なかった。もっと早く会えていたら、こんなにモヤモヤした思いをしなくてすんだのに…」とお話をいただいたことがありました。できるだけ早い段階で相談していただけるよう、もっとがん相談支援センターの存在を広めていきたいと思います。

がん相談支援センターの満足度に関する調査結果 「安心」「満足」「役に立った」と回答した割合対象者:拠点病院のがん相談支援センターの利用者430名 81% 出典:平成26年度 厚生労働省科学研究 がん対策推進総合研究事業「がん対策における進捗管理指標の策定と計測システムの確立に関する研究」

最後に、がん相談支援センターの利用を考えている患者さんやご家族へメッセージをお願いします。

藤吉

どんなことでも相談していただければ、私たちは気持ちに寄り添い、一緒に考えることができます。「こんなことを聞いても良いのかな」と一人で思い悩まず声に出してもらえれば、もしかしたら私たちが他の職種の方々と連携をとって、お手伝いできることが見つかるかもしれません。気兼ねなく、ためらうことなく、ぜひお声掛けください。

仲島

漠然とした不安を抱きながらも、「何を相談したら良いのかわからない」という場合でも構いません。私たちはその方に寄り添って、問題解決のお手伝いをさせていただきます。相談に来られた方の伴走者ができればと思っています。

  • お住まいの近くのがん相談支援センターはこちらから探すことができます。

【お話をうかがった先生】

埼玉県立がんセンター 地域連携・相談支援センター

看護師
仲島 晴子先生

新潟県厚生連佐渡看護専門学校 卒業
認定がん専門相談員

ソーシャルワーカー(社会福祉士)
藤吉 法子先生

昭和女子大学 生活科学部 生活環境学科(現:人間社会学部 福祉社会学科) 卒業
精神保健福祉士 認定がん専門相談員

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当ウェブサイトは、大腸がんやその治療法などに関する一般的な情報を提供するものであり、特定の治療法などを推奨するものではありません。病状や治療法などに関しての判断は、担当医またはかかりつけの医療機関にご相談ください。