公開日:2017.11.07更新日:2018.03.30
【治療全般】
がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す。第3期がん対策推進基本計画について
がん対策推進基本計画(基本計画)は、がん対策を総合的かつ計画的に進めることを目的として、がん対策基本法に基づいて策定され、およそ5年ごとに見直されてきました。
第1期~第2期の基本計画では、がん診療連携拠点病院の整備やがん患者の就労を含めた社会的な問題などへの取り組みが行われ、生存率の向上など一定の成果が得られました。一方で、がん検診受診率の目標の未達など取り組みが遅れている分野があることに加え、がんゲノム医療の推進など新たな課題が生じています。
こうした背景から、2017年に閣議決定された第3期の基本計画では、以下の3つの全体目標が設定されました。
科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実
~がんを知り、がんを予防する~
世界保健機関(WHO)は、がんの約40%は予防できるとしており、がんのリスクとなるような生活習慣(喫煙や運動不足など)や外的因子(肝炎ウイルスの感染など)を避けることを提唱しています。
また、もしがんになったとしても、早期発見することにより高い確率で完全に治すこと(治癒)ができるため、国はがん検診の受診を呼びかけていますが、受診率は依然として低いままです。
そのため、全体目標の1つ目としては、がんを予防する方法の普及啓発・研究と、国民が利用しやすいがん検診体制の構築が進められることとなりました。
患者本位のがん医療の実現
~適切な医療を受けられる体制を充実させる~
個人の遺伝情報などをもとにして、その人の体質や病状に適した医療を行う「ゲノム医療」の実現に向けた研究が進んでおり、治療に結びつけるための研究体制や制度の整備などが必要とされています。
また、がんの特性に応じた治療体制として、大腸がんなどの患者数の多いがんについては、標準治療が全国どこでも受けられること(均てん化)が必要とされ、患者数が少ないがん・治癒が難しいがんについては、専門性の高い施設に患者さんを集中させて治療と研究推進を行うこと(集約化)が必要とされています。
そのため、全体目標の2つ目としては、ゲノム医療などによる患者さんごとに最適化されたがん医療の実現や、がんの特性に応じたがん医療の均てん化・集約化などが進められることとなりました。
尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築
~がんになっても自分らしく生きることのできる地域共生社会を実現する~
がん患者さんは診断されたときから、身体的・精神的・社会的苦痛を抱くとされ、これらの苦痛に対する緩和ケアを適切に行うことが必要とされています。
また、医療技術の進歩に伴い、どれだけ長く生きられるかということだけでなく、がんになっても「自分の住み慣れた地域社会で生活したい」、「今の仕事を続けたい」といった自分らしく生きるための支援を提供する仕組みが必要とされています。
そのため、全体目標の3つ目としては、がん患者さんが自分らしく生活できるように、必要な支援(医療・福祉サービスや就労・就学支援など)が受けられる環境の整備が進められることとなりました。
ここで紹介した内容以外にも、第3期の基本計画では3つの全体目標のもとにさまざまな施策が盛り込まれています。基本計画の内容について詳しく知りたい方は、厚生労働省のサイトをご覧ください。
※2018年3月追記
2018年3月、第3期の基本計画に、個別目標として受動喫煙対策が追加されました。
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