公開日:2012.08.17更新日:2023.07.24
【検診】
厚生労働省が掲げる、大腸がん検診受診率の目標と現状
厚生労働省は、2007年に策定された「がん対策推進基本計画」の中で、2011年度までの5年間で大腸がん検診の受診率を50%以上とする目標を掲げてきました。
大腸がん検診については、40歳以上の人は年に一度受けることが推奨されています。
しかし、2010年に実施された「国民生活基礎調査」によると、この受診率は、男性が28.1%、女性が23.9%と低い割合にとどまっています。
2012年6月に見直された「がん対策推進基本計画」では、2016年までのがん検診受診率の目標は、これまでと変わらず50%に設定されています。
しかし、「胃、肺、大腸は当面40%」と付け足され、大腸がん検診は胃がんや肺がんと並び、目標を達成するのが難しいことが浮き彫りとなりました。
がん検診の目的は、がんを早期に発見し、早期に治療を行うことで、がんによる死亡を減らすことです。
大腸がんをステージⅠのような早期の段階で発見して治療した場合、5年生存率(がんと診断された日から5年後に生存している人の割合)は90%以上と、治癒する可能性が高くなります。
大腸がん検診で行われる便潜血検査は、がんを早期に発見できることから、死亡率を下げることが科学的に確かめられています。
大腸がんは進行するまで、ほとんど自覚症状はありません。
したがって、がんを早期発見するためには、一人一人が大腸がん検診の有効性を知り、その重要性を自覚して、定期的にがん検診を受けることが大切です。
※2023年7月追記
2022年に実施された「国民生活基礎調査」によると、大腸がん検診の受診率は男性で49.1%、女性で42.8%でした。がん検診の受診率は、他のがんも含めて増加傾向にありますが、2022年時点で、男性の肺がん検診(受診率53.2%)を除き、目標の50%を達成できていません。
これらを踏まえ、2023年3月に閣議決定された「第4期がん対策推進基本計画」では、受診率向上に向けてより科学的かつ効率的な受診勧奨策を推進することで、2028年度までに受診率60%を目指す、との目標が掲げられました。