公開日:2012.09.18更新日:2022.09.30
【手術】
大腸がんの手術後の合併症のひとつ「縫合不全(ほうごうふぜん)」
大腸がんの外科手術を終えた後、合併症として縫合不全が起こることがあります。
縫合不全とは、外科手術で大腸の一部を切り取り、残った腸管どうしをつなぎ合わせる際、縫い合わせたところがうまくつながらないことです。
縫合不全を起こしたところから腸の内容物が腹部の内側へ漏れ出すことで、腹膜炎の発症につながります。
その結果、発熱や悪寒、腹痛などがみられるほか、膿(うみ)がたまる腹腔内膿瘍(ふくくうないのうよう)が起きることもあります。
軽度の場合は、食事をしばらく止め、点滴や抗生物質の治療を行うことで治ります。
しかし、漏れる内容物の量が多く、腹膜炎が起こると、再手術が必要になることもあります。
その場合、縫い目の上流(口側)に一時的に人工肛門を造り、縫合不全の部位を内容物が通らないようにし、安静にすることで治ります。
通常は約半年ほど経過した後、縫合不全が治ったことが確認できれば、手術をして人工肛門を閉じ、肛門から便が出るようにします。
縫合不全は、結腸がんの手術では約1.5%、直腸がんの手術では約5%に起こると言われています*。
腹痛や発熱など、手術後に気になる症状がある場合は、できるだけ早く医師に伝えましょう。
*出典:大腸癌治療ガイドラインの解説 2009年版(金原出版)