公開日:2017.02.27
【医療費】
先進医療とは?先進医療を受ける時の費用と注意点
先進医療とは、厚生労働大臣が定める先進的な医療技術のことです。日本の医療保険制度においては、必要な医療は基本的に保険診療で行われており、有効性と安全性が確認された医療が保険適用となります。一方で、患者さんの利益が期待できる場合には、研究段階にある保険適用外の医療が選択肢の一つとなることがあります。しかし、保険適用外の医療を受けるには、日本では混合診療※が原則認められていないため、本来は保険適用となる部分も含め全額自己負担となり、経済的な理由によりその医療を選択できない場合がありました。
このような状況に対して、先進医療制度は、患者さんが先進的な医療技術を受けやすくすること、また治療実績の蓄積による保険適用を目指すべく、混合診療を例外的に認めるものです。なお、2017年2月1日現在で、厚生労働省に認められている先進医療は109種類あります。また、先進医療ごとに、対象となる患者さんや、実施できる医療機関が限られています。
※混合診療:保険適用となる医療(保険診療)と保険適用外の医療(自由診療)を併用すること。混合診療を無制限に導入した場合、有効性や安全性が確かめられないまま医療が普及してしまうなどの懸念があるため、原則禁止とされています。
先進医療にかかる費用
先進医療を受けるときにかかる費用は、保険適用となる医療にあたる部分と、先進医療にあたる部分に分けられます。先進医療にあたる部分は自由診療であるため全額自己負担ですが、保険適用となる部分は公的医療保険が適用されるため、原則3割負担となります。なお、先進医療にあたる部分の費用は、先進医療の種類や医療機関によって異なります。
保険適用となる医療にあたる部分 (保険診療) |
先進医療にあたる部分 (自由診療) |
保険負担 | 自己負担 (全額) |
自己負担 (原則3割)※ |
※保険診療にかかる自己負担については、高額療養費制度が適用されます。
先進医療が保険適用となるまで
先進医療は将来的に保険適用を目指しているため、その治療実績は、医療機関から厚生労働省に報告され、先進医療会議で、有効性や安全性などの観点から、「保険収載」、「先進医療として継続」、「先進医療告示から取消し」のいずれかに判断されます。「保険収載」と判断された医療技術については、中央社会保険医療協議会(中医協)で、最終的に保険適用されるかどうかが決定されます。
先進医療を希望する際に注意したいこと
先進医療は、まだ開発・評価の途上にある医療技術であるため、有効性と安全性が確立されたものではありません。言い換えると、先進医療は、科学的根拠(エビデンス)に基づいた視点で、現在利用できる最良の治療である「標準治療」とは異なります。そのため、本当に必要な治療なのかを良く考えてみましょう。
それ以外にも「最新治療」や「先端医療」とうたわれている治療法の中には、科学的根拠や必要性があいまいなものもあり、期待する効果が得られないうえに、高額な治療費を請求されてしまうケースもあります。このような治療法と先進医療を混同しないよう注意しましょう。
治療法について悩んだ時は、主治医に良く相談して、患者さん自身が納得したうえで判断することが大切です。
厚生労働省のWEBサイトでは、現在認可されている先進医療の各技術の概要や、先進医療を実施している医療機関の一覧などを確認することができます。
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