医療従事者インタビュー
公開日:2012.12.20
「あのとき、こうしておけば…」と後悔しないために
目次
- 1.手術の前から、術後補助化学療法の可能性を見すえて
- 2.大腸がんの手術を受けるときは、検査と同じぐらいの気持ちで
- 3.手術後に再発する患者さんを少しでも減らしたい
次に手術のことをおうかがいします。手術の当日、患者さんには何かお話をされますか?
手術の説明はすでにしているので、当日は「おはようございます」や「気分はどうですか?」といったあいさつぐらいですね。
ステージⅡやⅢの大腸がんの手術であれば、検査を受けるぐらいの気持ちで、手術に臨んでもらったほうがいいと思っています。ご存じない方にとっては意外かもしれませんが、当院では大腸がんの患者さんは、病室から手術室まで徒歩で向かっていただいています。
今のお話で、大腸がんの手術に対する印象が変わりました。
では、大腸がんの手術には、どういった方法があるのでしょうか?
大腸がんの手術の方法としては、開腹手術と腹腔鏡手術があります。かつては腹腔鏡手術が受けられる病院は限られていましたが、今では多くの病院で受けられるようになっていて、どちらの方法も標準治療です。開腹手術と腹腔鏡手術では、合併症や経済的負担などに大きな差はありません。どちらの方法が良いというものではありませんので、主治医とよく相談して、ご自分が納得して手術を受けることが大切です。当院では、大腸がんの90%以上で腹腔鏡手術を行っています。
実際の大腸がんの手術は、どれくらい時間がかかるのですか?
がんができた部位や、がんの広がりによって異なりますが、当院では手術自体の時間は1時間半から3時間ぐらいです。これに麻酔時間や準備時間などが加わります。
手術を終えた患者さんには、どのようなことを話しますか?
術後の注意点は2点です。食べすぎないことと、十分運動することです。予定どおりに経過しているなら、「順調ですよ」「運動してくださいね」「食べすぎないでくださいね」と話す程度です。
また、患者さん自身が治療スケジュールを把握できるツールとして、クリティカルパス(治療のスケジュール表)というものがあって、入院するときにお渡ししています。患者さんは、このスケジュールどおりに進んでいれば、術後の経過が順調だと分かります。これが、患者さんの安心感にもつながっていると思います。
手術後どれぐらいで退院できますか?
手術後に合併症が起きていなければ、特別なケアを必要としないので、最短では7日程度で退院も可能ですが、通常は10日から2週間です。クリティカルパスでも、その間に抜糸をして退院するという流れになっています。
続いて、手術後の抗がん剤治療(術後補助化学療法)について教えてください。
手術後に抗がん剤治療(術後補助化学療法)を行うかどうかは、主にステージで判断します。ステージは、手術前の検査でもおおよそ分かりますが、手術後の病理検査の結果を見て、最終的に決定します。当院では、手術後1週間で病理検査の結果が出るので、術後補助化学療法が必要と考えられる場合には、入院中にご家族と一緒に説明をし、治療方法の最終決定は退院後、外来でしていただきます。